保育士の離職率は高い?最新データと辞める理由、長く働ける保育園の選び方
2026/08/24
投稿者:スタッフ
保育士の離職率は高い?最新データと辞める理由、長く働ける保育園の選び方
「保育士は離職率が高いって本当?」
「保育士は何年目で辞める人が多い?」
「転職するなら、今度は長く働ける保育園を選びたい」
保育士として働いている方や、これから保育士として働く方の中には、「保育士の離職率」が気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、保育士の離職率は約8%で、保育士だけが特別に離職率の高い職業とはいえません。 厚生労働省の資料では、2020年の保育所で勤務する常勤保育士の離職率は8.4%でした。厚生労働省も「必ずしも高くはない」としています。
ただし、離職率の数字だけでは「働きやすい保育園かどうか」までは分かりません。
保育士の退職理由としては、人間関係、給与、仕事量、労働時間などが挙げられており、同じ保育士でも職場によって働きやすさには違いがあります。
この記事では、保育士の離職率を正しく理解したうえで、辞める理由や、転職先を選ぶときに確認したいポイントまで解説します。
保育士の離職率は約8%
厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書」によると、2020年に保育所で勤務する常勤保育士の離職率は”8.4%”でした。厚生労働省は、勤務者が40万人を超える中では、この離職率は必ずしも高くないとしています。
ここで注意したいのが、「離職率8.4%」という数字の意味です。
この数字は、2019年10月1日時点の勤務者数に対して、2020年9月30日までの1年間に退職した人の割合を示したものです。
つまり、
「保育士として働いている人の約8%が保育士を辞めた」
という意味ではありません。
今の保育園を退職して、別の保育園へ転職した人も「離職」に含まれます。
そのため、「離職率が8.4%だから、保育士は10人に1人近くが保育士を辞めている」と考えるのは適切ではありません。
「保育士の離職率が高い」と感じるのはなぜ?
保育士の離職率だけを見ると、必ずしも突出して高いとはいえません。
それでも「保育士はすぐ辞める」「保育士は離職率が高い」というイメージが持たれやすいのは、保育現場で働くうえでさまざまな負担があるためです。
保育士の仕事には、
・子どもの安全管理
・日々の保育
・保護者対応
・連絡帳や日誌などの書類作成
・行事の準備
・制作物の準備
・職員同士の連携
・環境整備
など、多くの業務があります。
さらに園によっては、残業や持ち帰り仕事が発生することもあります。
こうした負担が積み重なると、「保育の仕事自体は好きだけれど、今の働き方を続けるのは難しい」と感じることがあります。
一方で、ICTを導入して書類業務を効率化したり、行事準備を分担したり、残業削減に取り組んだりしている園もあります。
つまり、保育士の働きやすさは「保育士という職業」だけでなく、「どの保育園で働くか」によっても変わります。
保育士が辞める主な理由
厚生労働省の資料では、保育士の退職理由として「職場の人間関係」のほか、「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」などが挙げられています。
ここでは、代表的な退職理由を詳しく見ていきましょう。
人間関係
保育園では、複数の職員が協力しながら子どもたちの保育を行います。
そのため、職員同士の関係性は働きやすさに大きく影響します。
例えば、
・職員同士で相談しにくい
・意見を言いにくい
・特定の職員に仕事が偏っている
・園長や主任と考え方が合わない
・困ったときに相談できる人がいない
といった環境では、仕事そのものが好きでも退職を考えることがあります。
人間関係は求人票だけでは分かりにくい部分なので、園見学で職員同士のやり取りを見ることも大切です。
給与や待遇
「仕事量や責任に対して給与が見合っていない」と感じることも、退職を考える理由の一つです。
給与を見るときは、月給や時給だけでなく、
・賞与
・昇給
・各種手当
・住宅手当
・退職金
・休暇制度
なども確認しましょう。
また、同じ月給でも固定残業代の有無や手当の内訳によって、実際の条件は変わります。
仕事量が多い
保育士は、子どもたちと過ごす時間以外にも多くの業務があります。
特に、
・書類作成
・行事準備
・制作準備
・保護者対応
・会議
・環境整備
などが勤務時間内に終わらない場合、残業や持ち帰り仕事につながることがあります。
「子どもと関わる仕事は好きだけれど、仕事量が多すぎる」という理由で転職を考える人もいます。
労働時間が長い
早番・遅番などのシフト勤務がある保育園では、生活リズムとの両立が難しいと感じる場合があります。
また、勤務時間そのものだけでなく、
「出勤前に準備をしている」
「退勤後に書類を終わらせている」
「自宅で行事の準備をしている」
など、実際の労働時間が求人票からは分かりにくいケースもあります。
転職するときは、「何時から何時まで働くか」だけでなく、勤務時間内に業務を終えられる環境かどうかも確認したいポイントです。
保育方針が合わない
「もっと子ども主体の保育がしたい」
「自分が大切にしている保育と園の方針が違う」
など、保育観の違いから転職を考えるケースもあります。
給与や休日が良い園でも、自分の保育観と大きく異なる場合、長く働くことが負担になる可能性があります。
保育士は何年目で辞める人が多い?
「保育士は何年目で辞める人が多いの?」と気になる方もいるでしょう。
厚生労働省の資料では、保育士として勤務経験がある離職者について、離職までの年数が3年未満30%、3年以上5年未満21%となっています。
この数字を見ると、離職者の中では5年未満で職場を離れる人が一定数いることが分かります。
ただし、ここでも注意が必要です。
「5年以内に保育士を辞める人が多い」
という意味ではありません。
今の保育園を退職して、別の保育園へ転職する人もいるからです。
実際、厚生労働省の資料では、退職して転職した保育士のうち、過半数が保育分野へ転職したとされています。
つまり、「今の園を辞めること」と「保育士を辞めること」は分けて考える必要があります。
保育士の離職と転職は違う
例えば、
現在の保育園を退職
↓
別の保育園へ転職
↓
保育士として勤務を継続
というケースがあります。
この場合、最初の保育園から見れば「離職」です。
しかし、その人は保育士を辞めたわけではありません。
「保育士の仕事は好きだけれど、今の職場では長く働けない」
という理由で転職する人もいます。
そのため、
離職率が高い=保育士を辞める人が多い
とは限りません。
むしろ、今の職場で抱えている不満を解消するために、別の保育園へ転職するという選択肢もあります。
保育士の離職率だけで保育園を判断してはいけない理由
「離職率の低い保育園に転職したい」と考えるのは自然なことです。
しかし、離職率が低いから必ず自分に合う保育園とは限りません。
例えば、
「職員は長く働いているけれど、残業が多い」
「平均勤続年数は長いけれど、自分の保育観と合わない」
「職員の入れ替わりはあるけれど、結婚や引っ越しなど職場とは関係のない理由で退職している」
というケースも考えられます。
保育分野では、平均勤続年数や離職率が職場の状態を測る指標として扱われていますが、これらの数字だけで個々の職場の働きやすさを判断することはできません。
だからこそ、転職するときは「離職率」という一つの数字ではなく、自分が長く働くために必要な条件が整っているかを見ることが重要です。
長く働ける保育園を選ぶポイント
長く働ける保育園を探すなら、次のようなポイントを確認してみましょう。
人間関係
・職員同士で相談しやすい
・困ったときにフォローしてもらえる
・新人をサポートする体制がある
・職員間で意見を言いやすい
残業・持ち帰り仕事
・残業がどの程度あるか
・勤務時間内に書類を終えられるか
・持ち帰り仕事がないか
・行事前に残業が増えないか
職員配置
・必要な職員数が確保されているか
・急な欠勤へのフォロー体制があるか
・休憩を取れる体制があるか
・一人の職員に負担が偏っていないか
休みの取りやすさ
・希望休を相談しやすいか
・有給休暇を取得しやすいか
・子どもの急な体調不良に対応してもらえるか
・連休を取得できる環境があるか
保育方針
・自分の保育観と合っているか
・園の方針が職員に共有されているか
・保育について職員同士で相談できるか
給与・待遇
・基本給はいくらか
・手当の内容はどうなっているか
・賞与はどのように支給されるか
・昇給制度があるか
・退職金制度があるか
長く働きやすい園と注意したい園を比較すると?
求人を比較するときは、「良い園・悪い園」と決めつけるのではなく、自分にとって働きやすい環境かどうかを見ることが大切です。
【職員同士の関係】
長く働きやすい可能性がある環境
・相談しやすい
・困ったときにフォローがある
・職員同士で協力している
注意して確認したい環境
・相談しにくい
・特定の職員に負担が偏っている
・職員間のコミュニケーションが少ない
【業務量】
長く働きやすい可能性がある環境
・業務分担が明確
・勤務時間内に仕事を終えやすい
・ICTなどで業務効率化をしている
注意して確認したい環境
・残業が常態化している
・持ち帰り仕事が多い
・行事前の負担が大きい
【休み】
長く働きやすい可能性がある環境
・希望休を相談しやすい
・有給休暇を取得しやすい
・急な休みに対応できる体制がある
注意して確認したい環境
・休みを相談しづらい
・職員が休むと現場が回らない
・有給休暇を取得しにくい
【保育方針】
長く働きやすい可能性がある環境
・自分の保育観と近い
・保育について話し合える
・園の方針が明確
注意して確認したい環境
・自分の保育観と大きく異なる
・保育について相談しにくい
・園の方針が十分に共有されていない
もちろん、これだけで「良い園」「悪い園」と判断することはできません。
大切なのは、自分が何を重視しているのかを明確にして求人を比較することです。
求人票だけでは離職率や職場環境は分からない
転職先を探していると、
「離職率が低い園に行きたい」
「職員が長く働いている園がいい」
と思うかもしれません。
しかし、求人票に離職率が掲載されているとは限りません。
また、
「職員の定着率が高い」
「平均勤続年数が長い」
といった情報だけでは、その園が自分に合うかまでは分かりません。
例えば、次のような質問をしてみると、より具体的な働き方をイメージできます。
「今回の募集は欠員補充ですか?増員ですか?」
「前任の方はどのような理由で退職されたのでしょうか?」
「残業は月にどのくらいありますか?」
「書類は勤務時間内に終えられていますか?」
「行事前はどのような準備をしていますか?」
「有給休暇はどのように取得されていますか?」
こうした質問をすることで、求人票だけでは分からない部分を確認できます。
保育のソムリエだから分かる「離職率だけでは分からないこと」
保育士の転職相談では、
「できるだけ離職率が低い園に転職したい」
という希望をいただくことがあります。
もちろん、職員が長く働いていることは、職場選びの一つの判断材料です。
ただ、保育のソムリエでは、離職率だけで求人を判断することはおすすめしていません。
実際に求人をご案内するときには、
・今回の募集理由
・職員の年齢層や構成
・園の採用状況
・過去の退職状況
・残業や持ち帰り仕事
・書類業務の分担
・園長や主任の考え方
・職員の働き方
など、求人票だけでは判断しにくい部分も確認することが重要です。
例えば、「欠員補充」という求人でも、退職理由が定年や引っ越しなどであれば、職場環境が原因とは限りません。
反対に、毎年のように同じポジションを募集しているのであれば、「なぜ募集が続いているのか」を確認したほうが安心です。
もちろん、募集理由だけで園を判断することもできません。
一つの情報だけで決めるのではなく、複数の情報を組み合わせて判断することが大切です。
転職前に「なぜ辞めたいのか」を整理しよう
今の保育園を辞めたいと考えているなら、求人を探す前に「なぜ辞めたいのか」を整理してみましょう。
例えば、
□ 人間関係を改善したい
□ 残業を減らしたい
□ 持ち帰り仕事をなくしたい
□ 給与を上げたい
□ 休みを取りやすくしたい
□ 保育方針の合う園で働きたい
□ 通勤時間を短くしたい
□ 子育てと両立したい
□ キャリアアップしたい
などです。
さらに、
絶対に変えたい条件
できれば変えたい条件
に分けてみましょう。
例えば、「残業の多さ」が退職理由なら、
「給与が高い園」
だけを探すのではなく、
「残業が少ない」
「書類業務を勤務時間内に行える」
「行事準備を分担している」
などの条件を優先したほうが、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
転職先で同じ理由で辞めないために
転職で大切なのは、今の保育園を辞めることだけではありません。
転職先で同じ理由による退職を繰り返さないことも重要です。
例えば、人間関係が理由で転職する場合、
「人間関係が良い園」
という条件だけでは少し曖昧です。
それを、
「職員同士で相談しやすい園」
「新人をフォローする体制がある園」
「複数担任で一人に負担が偏らない園」
など、具体的な条件に変えてみましょう。
そうすることで、自分に合った求人を探しやすくなります。
保育士の離職率が気になる人のチェックリスト
転職先を探すときは、離職率だけでなく、次のポイントも確認してみましょう。
□ 募集理由を確認した
□ 職員の年齢層を確認した
□ 職員配置を確認した
□ 残業時間を確認した
□ 持ち帰り仕事の有無を確認した
□ 書類業務の量を確認した
□ 行事準備の負担を確認した
□ 有給休暇を取りやすいか確認した
□ 希望休を相談しやすいか確認した
□ 園長や主任の考え方を確認した
□ 園の保育方針を確認した
□ 自分の保育観と合っているか確認した
□ 給与・賞与・手当を確認した
□ 転職後も長く働くイメージを持てるか考えた
すべてを求人票だけで確認するのは難しいため、面接や園見学で具体的に質問することをおすすめします。
園見学で離職につながりやすいポイントを確認する方法
園見学は、求人票では分からない職場の雰囲気を知る貴重な機会です。
例えば、次のようなところを見てみましょう。
職員同士の会話
職員同士がどのように声を掛け合っているかを見てみましょう。
もちろん、見学時だけで人間関係を判断することはできません。
ただ、職員が質問に対して丁寧に答えてくれるか、園長や主任が現場の職員にどのように接しているかなどは、職場の雰囲気を知る一つの材料になります。
子どもへの接し方
職員が子どもたちにどのような声掛けをしているかも確認しましょう。
「自分が大切にしたい保育と合っているか」を考えることで、入職後のギャップを減らしやすくなります。
職員の表情や忙しさ
職員が常に時間に追われているように見えないか、質問した際に落ち着いて対応してもらえるかなども参考になります。
ただし、行事前など一時的に忙しいタイミングもあるため、一度見ただけで判断しないことも大切です。
「離職率が低い園」を探すより、自分に合う園を探そう
離職率は、保育園を選ぶときの一つの判断材料になります。
しかし、それだけで転職先を決める必要はありません。
例えば、
「人間関係を最優先したい」
「残業を減らしたい」
「給与を重視したい」
「子育てと両立したい」
「自分の保育観を大切にしたい」
など、人によって「働きやすい園」の条件は違います。
だからこそ、
「離職率が低い園」ではなく、「自分が長く働ける園」を探すことが大切です。
そのためには、求人票の数字だけではなく、園の働き方や募集背景、業務内容まで確認してみましょう。
まとめ|保育士の離職率だけで転職先を決めないことが大切
保育士の離職率は、厚生労働省の資料では2020年の常勤保育士で8.4%でした。厚生労働省は、この数値について必ずしも高くはないとしています。
また、離職率は「保育士という仕事を辞めた人」の割合とは限りません。
今の保育園を退職して、別の保育園へ転職する人もいます。厚生労働省の資料でも、退職して転職した保育士の過半数が保育分野へ転職したとされています。
そのため、
「離職率が高い=保育士は続けにくい」
と単純に考える必要はありません。
一方で、保育士の退職理由には、
・職場の人間関係
・給与
・仕事量
・労働時間
などが挙げられています。
転職を考えるときは、離職率という一つの数字だけを見るのではなく、
・人間関係
・残業や持ち帰り仕事
・職員配置
・給与や待遇
・休みの取りやすさ
・保育方針
・園長や主任の考え方
・募集理由
などを確認して、自分が長く働ける環境かどうかを考えることが大切です。
「今の保育園を辞めたいけれど、次の園でも同じことにならないか不安」
「長く働ける保育園を探したい」
「求人票だけでは園の雰囲気が分からない」
という方は、保育のソムリエにご相談ください。
保育士専門の転職支援だからこそ、求人票の条件だけではなく、勤務時間や仕事内容、園の雰囲気、募集背景なども含めて、一人ひとりの希望を整理しながら、納得して長く働ける職場選びをサポートします。

